会長挨拶

日本メイラード学会の“メイラード”という名称は、フランスの科学者Louis Camille Maillard 博士(1878-1936年) の人名に由来します。アミノ基とカルボニル基の間で起こる求核付加反応に始まる一連のアミノカルボニル反応のことを称して、メイラード反応といいます。
食品学的視点から見ると、メイラード反応は、食品の嗜好性や品質を考える上で欠かせないばかりか、安全性、加工特性、機能性にも関わっています。一方、生体内で生じるような現象を病態生理学的な視点から見ると、本反応はありとあらゆる場所でランダムに生じることから、様々な病気の発症や病態の形成に関与していると考えられます。例えば、糖尿病・糖尿病合併症、動脈硬化、アルツハイマー病に代表される神経変性疾患、白内障、加齢黄斑変性症などの加齢関連疾患、そして老化そのものにも深く関連します。
他の動物と比べた時、メイラード反応が起こっている加熱・貯蔵した食品を食べ、そして、生体内メイラード反応が影響するほど長生きするのは人類だけです。人類が考え続けなければならない奥深い反応といえます。
谷口直之先生、宮澤陽夫先生、鈴木敬一郎先生、村田容常先生のこれまでの歴代会長や名誉会員の先生方、そして、役員や会員の皆様方が築いて来られた本学会の活動をさらに充実発展できますよう、様々な分野の方々のご支援や積極的なご参加をお願い申し上げます。